「東大の教授は優秀なのですね。『第四紀の氷期サイクルと日射量変動』には、その辺の事情が、どんな風に書いてあるのですか」と町会長。

「『日射量変動に見られる微弱な10万年周期変動からいかにして顕著な10万年周期の氷期サイクルが引き起こされるかについての理論的な仮説が山のように提唱されて来た。けれども、複雑を極める地球の気候システムの全容がいまだ明らかになっていない現時点では、10万年周期という数値の類似性が明確な物理的根拠を持つものなのか、または単なる偶然の一致なのかは不明と言うべきである。この謎を解くために詳細な観測データーの取得と解析が有効であることは当然だが、それとともに重要な手法は第V、VI章で述べられる数値的な気候のモデル化であろう』と書かれています。」

「地球の気候システムの全容は明らかになっていないとすると、氷期サイクルの10万年周期と、離心率の変動周期が一致する理由を解明するのが難しいということになってしまうのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。それを解決するために、大気大循環モデルとか、海洋大循環モデル、大気海洋結合大循環モデルとか、氷床力学モデルのような数値的な気候のモデルが作られ、改良が続けられているようです。」

「なるほど。当時最新の数値的な気候のモデルを使って、解析したら、日射量変動に見られる微弱な10万年周期変動により10万年周期の氷期サイクルが引き起こされることが分かったということなのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。世界で初めて、数値的な気候のモデルを使ったシミュレーションで、10万年サイクルで陸地を覆う『氷床』の分布の変化を再現したのです。」

「安倍教授は、次の氷期がまじかに迫っていると言っているのですか」と町会長。

「残念ながら、現在の温暖化がどうなるか分かるような数値季候モデルは完成していないようです。安倍教授は『産業革命以前に280ppmだったCO2濃度は、現在400ppmを超えています。これは最近100万年の氷期~間氷期サイクルの変動では説明できず、人間の活動による人為的なものとしか考えられません』と言っています。」

「なるほど。安倍教授は温暖化を心配しているのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「もしかして、渡辺さんは、米国が3世代くらいは進んだAIに数値季候モデルを作らせたら、次の氷期が間近に迫っているということが分かったと推定しているのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。安倍教授は、長年にわたる地道な研究から温暖化を心配しているようですが、僕の場合は、トランプ大統領の行動の分析から次の氷期がまじかに迫っているのを推定しているので、学問的な観点からはレベルが全く違います。」

「渡辺さんの場合は、なぜ氷期が間近に迫っているかという仮説がないのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。残念ながら、スーパーコンピューターも持っていませんし、数値季候モデルを作ったこともありません。しかし、安倍教授が温暖化を心配しているところから推定すると、現在起っている温暖化そのものが急激な寒冷化を引き起こすことになるのではないかと推定しています。」

「温暖化そのものが急激な寒冷化を引き起こすと言いますと?」

「南極ヴォストクの氷床コアの分析から作成した過去45万年の気温の変化を表すグラフを見ると、ミランコビッチ・サイクルに従って氷期に入ろうとしているのに、400ppmを超えているCO2のために、気温が下がらず、現在の状態が続くように見えます。もし、CO2濃度がさらに上昇すれば、氷期どころか、反対に高温期に突入するかもしれないような感じがします。」

「なるほど。過去45万年の気温の変化を表すグラフを見ると、直感的に氷期は来ないという感じがするのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。CO2炭素濃度が間氷期に400ppmに達したことがないことを知っていれば、『次の氷期なんか来るはずがない。地球はどうなってしまうのだ』というのが常識ある人間の判断だと思います。」

2020/7/22

※2020/8/15 「データ」を「データー」に修正。

<筆者の一言>
今回の再アップロードの記事の修正に関しては、修正日と修正内容を明示していません。例えば、再アップロード前は、新聞記事をそのまま引用し、引用した新聞社を明示していたのですが、新聞社は自社がしたことを新聞記事にするのは稀で、ニュースの元となる事実があるため、ニュースを引用しないで筆者が事実と確信したことに書き直しています。

<ムクドリ61>
翌日、庭を見ると苔庭は荒らされていなかった。効果があったのかと思いながら、母屋の屋根や外庭の向こうの木々を見ると、移動性の雀はどこにもいなかった。確かに、効果があったのだ。ピヨピヨという鳴き声もしない。

どうも、鳥が見る世界と人間が見る世界は違うようだ。真ん丸の目をした猫の害獣撃退機に、移動性雀が異常な反応を示したので、鳥が見る世界と人間が見る世界は違うとは思っていた。

鳥は上空から地上を見るから、視覚的な情報量が極端に多いと推定される。それなのに、脳の神経細胞数が人間の300分の1ぐらいしか無い。多い鳥でも5億ぐらい、少ない鳥では1億を少し上回るぐらいだ。人間の脳の神経細胞数が1000億近いことを考えると実に少ない。

その結果、人間と比べると個々のものを識別するための情報量が少ないと推定される。分かりやすく言うと、鳥から見れば、人間は、鳥が顕微鏡で見たような世界を見ているのだ。人間からすれば、鳥は大雑把な、極度に極度に抽象化された世界を見ているのだ。

鳥の世界では、動くものは、木の枝のように風に吹かれて部分的に動くものと、動物のように全体が動くものに区別されるのだと推定している。風を受けて常に向きを変えているおもちゃの鷲は、全体が動くもの、要するに動物に入るのだろう。

特筆すべきことは、雀に近い全体の形ではなく、精巧に作られている顔の形から、鷲であることを判断していることだ。人間も僅かな表情の変化から、様々な情報を得ているので、鳥が顔の形に特別な反応を示しても驚くには当たらない。真ん丸の目をした猫の害獣撃退機に、移動性ムクドリが異常な反応を示したのも同じ原理だろう。鳥は、顔で互いを識別していると推定される。<続く>

2023/7/5